独立行政法人労働者健康安全機構 九州労災病院

胆道がん

はじめに

肝臓で作られた胆汁(消化液)は胆嚢という臓器で濃縮され、十二指腸まで流れ出ます。この通り道を胆道といい、ここに発生したがんを胆道がんと呼びます。胆道がんは、胆嚢がん、胆管がん、十二指腸乳頭がんと部位によって名前が変わります。胆道がんのわが国における罹患数は、約23,000人でがん全体の罹患率(病気にかかる割合)の2〜3%を占めています。また、年間死亡者数は約2万人と全がん患者の約5%にあたり、頻度は多くありませんが、予後が悪いがんのひとつです。胆嚢がんはやや女性に多く、一方胆管がん、十二指腸乳頭部がんは男性に多い傾向が見られます。治療は外科手術が第一選択ですが、早期診断が難しいため、診断がついた時点でその他の臓器に転移しており、手術ができないこともあります。

解剖

胆道の解剖図

深達度

胆道の深達度

症状と診断

胆道癌は黄疸(眼球や皮膚が黄色くなること)、白色便、褐色尿、腹痛などの特有な症状があります。多くの場合は進行癌で発見されることが多いですが、採血で肝臓、胆道系の数値が高値であることに加え、腫瘍マーカーが上昇していると、これらのがんを疑い、腹部エコー、CTなどの画像検査を行います。最終的には、内視鏡による胆汁の採取や胆管生検(直接組織を採取すること)から診断を行います。

胆道癌は、前述した通り胆嚢がん、胆管がん、十二指腸乳頭がんを合わせたものですが、その発生部位によって手術方法が異なります。

胆嚢がん

深達度(がんの深さ)によって、手術の方法が異なります。胆嚢の粘膜内(内側の一番浅いところ)にがんがとどまっている場合は、腹腔鏡というカメラを使った全層胆嚢摘出術を行います。一方、漿膜を越えて肝臓や胆管にがんが浸潤している可能性がある場合は開腹して、肝臓と胆管を切除し周囲のリンパ節郭清(転移している可能性のあるリンパ節を取り除くこと)を行います。最後に胆道再建(胆汁が通る道を新たにつくること)を行います。

胆管がん

胆管の部位によって手術方法が異なります。胆管の十二指腸側である遠位胆管にがんがある場合には、膵頭十二指腸切除術(解剖学的に胆管だけを取ることはできませんので、周囲の臓器である十二指腸、膵臓も一緒に切除します)とリンパ節郭清を行います。胆管の肝臓側である肝門部胆管にがんがある場合には、肝切除と胆道再建を行う必要がありますが、がんの大きさや部位によって、手術の難易度が異なります。

十二指腸乳頭部がん

胆管が十二指腸内腔へ開口する部位に発生したがんであり、遠位胆管がんと同様に膵頭十二指腸切除術を行います。粘膜がん内視鏡下乳頭切除を行う場合もあります。

膵頭十二指腸切除
  1. 胃を切離する
  2. 胆管を切離する
  3. 膵臓を切離する
  4. 小腸を切離する
膵頭十二指腸切除
再建方法
  1. 残った膵臓と小腸の吻合
  2. 残った胆管と小腸の吻合
  3. 残った胃と小腸の吻合
  4. 小腸と小腸の吻合
再建方法

内科的治療

胆道がんにおいて治癒が望める唯一の治療法は外科的切除ですが、切除不能胆道がんに対する治療は抗癌剤治療が標準治療となります。点滴や内服を組み合わせて治療を行います。抗癌剤治療は正常な細胞にも影響が及ぶため、副作用も少なくありませんが、副作用に対しても治療を行います。黄疸や胆管の感染が起きた場合は、内視鏡的治療、経皮的治療(体の表面から肝臓を経由して胆管や胆嚢を刺す治療)を行うことも必要になります。

放射線治療

胆道がんに対して放射線療法単独では根治することは難しいのが現状です。術後照射や切除不能胆道がんに対する症状緩和目的で行われます。治療効果を向上させるため、抗がん剤を併用することもあります。