独立行政法人労働者健康安全機構 九州労災病院

子宮頚がん

子宮頸がんとは

膣につながる子宮の入り口を子宮膣部といい、ここにできるがんを子宮頸がんといいます。子宮頸部の表面を覆っているのは扁平上皮といわれる細胞で、ここからできるがんである子宮頸がんも多くは扁平上皮がんですが、他に、腺がんや、腺扁平上皮がんといわれる種類のがんも発生します。

子宮解剖図

子宮頸がんの症状

初期には無症状であることがほとんどです。腫瘍(がんの部分)が進行すると、月経の時以外の出血や、月経の変化(長引く・終わってもまた出血する・不順になる)、性交時の出血、おりものの変化(におい・量・性状)等が現れてきます。初期で見つけるためにはがん検診が一番簡単で効率的です。がん検診は1年に1回は必ず受けましょう。

近年、子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)の因果関係が明らかになりました。ヒトパピローマウイルスの感染は性交時に起こるのが大部分です。大部分の例で感染は陰性化するといわれており、感染が持続する場合、異形成と呼ばれる前がん病変が発生するといわれています。どういう場合にウィルス感染が陰性化するのか、どういう場合に感染が持続するのかは未だ解明されていません。そこで、子宮頸がんの予防としてヒトパピローマウイルスに対するワクチン接種は有効な方法であり、全女性が15歳までにワクチン接種すれば子宮頸がんによる死亡は70%減少するといわれています。

子宮頸がんの診断・検査

細胞診

子宮頸部をブラシでこすって頸部の細胞をプレパラートにとって顕微鏡で観察するのが細胞診です。この際、少量の出血を見ることはありますが、痛みを感じることはほとんどなく短時間で簡単に行うことが出来ます。通常子宮がん検診といえばこの細胞診を行います。

コルポスコープ

細胞診で異常が見つかった場合に行ないます。子宮頸部を拡大して観察する拡大鏡です。これによって、より細かい病変や変化が観察できます。

組織検査(生検)

肉眼的に明らかに異常と思われる部分や、コルポスコープで変化の認められる部分をほんの少し切り取る検査です。通常痛みも少なく、後の出血も少量で止まることがほとんどです。これで、がんかどうか、簡単ながんの浸潤度合いがわかることもあります。

子宮頸がんの進行期(ステージ)分類

子宮頸がんは、初期には子宮頸部にとどまっていますが、進行すると周囲の臓器やリンパ節に広がり、更にリンパ節や血管を経由して全身にがんは進展していきます。細胞診、コルポスコープや組織検査の結果、あなたががんだと言うことが確実になれば、さらに様々な検査を行い、がんの拡がり具合を調べて進行期を決定します。

内診、直腸診によって子宮の周りの状態を診察するのはもちろん、胸部レントゲン・MRI・CT・膀胱尿路造影・膀胱鏡・直腸鏡などを組み合わせて全身の検査を行います。進行期は0期からIV期にまで分類されています。この進行期によって、適切な治療法は異なります。

子宮頸がんの臨床進行期

Ⅰ期

がんが子宮頸部に限局するもの

  • ⅠA期 組織学的にのみ診断できる浸潤がん
  • ⅠA1期 間質浸潤の深さが3mm以内、縦方向の広がりが7mmをこえないもの
  • ⅠA2期 間質浸潤の深さが3mmをこえるが5mm以内で、広がりが7mmをこえないもの
  • ⅠB期 臨床的に明らかな病変が子宮頸部に限局するもの、または IAをこえるもの
  • ⅠB1期 病変が4cm以内のもの
  • ⅠB2期 病変が4cmをこえるもの
Ⅱ期

がんが子宮頸部をこえて広がっているが、骨盤壁または膣壁の下1/3には達していないもの

  • ⅡA期 がんが膣壁に広がっているが、子宮傍組織組織には広がってないもの
  • ⅡA1期 病変が4cm以内のもの
  • ⅡA2期 病変が4cmをこえるもの
  • ⅡB期 子宮傍組織へ広がったもの
Ⅲ期

がんが骨盤壁に達するもので、がんと骨盤壁との間にがんでない部分をもたない、または膣壁の浸潤が下1/3に達するもの

  • ⅢA期 膣壁への浸潤が下1/3に達するが、骨盤壁に達してないもの
  • ⅢB期 子宮傍結合織浸潤が骨盤壁に達するか、水腎症や無機能腎のあるもの
Ⅳ期

癌が小骨盤腔をこえているか、膀胱、直腸粘膜を侵すもの

  • ⅣA期 膀胱や直腸粘膜に浸潤があるもの
  • ⅣB期 小骨盤腔をこえて広がるもの

子宮頸がんの治療

子宮頸がんの治療には大きく分けて3種類の治療があります。患者さまのがんの進行期や年令や全身状態などを総合的に判断して、最適の治療法を決定します。いくつかの方法を組み合わせて治療を行うこともあります。

子宮頸がんの治療

手術(外科的治療)

子宮頸部円錐切除術

子宮頸部を円錐型に切り取る手術です。がんがどれくらい深く、どれくらい広く浸潤しているかを調べるための診断的術式である以外に、ごく初期の病変であれば検査と同時に治療となります。

単純子宮全摘術

子宮全体を摘出します。

広汎子宮全摘術

子宮本体だけではなく、膣の一部分を含めて子宮の周囲の組織を骨盤壁の近くまで広く切除します。また子宮周囲のリンパ節(骨盤内のリンパ節)も摘出します。卵巣についてはがんの進行度、種類によっては温存が図れる場合もあります。

放射線療法

放射線を照射することにより、がん細胞を殺す治療法です。通常身体の外部からあてる外照射と、がんのあるところに線源を入れて行う腔内照射とがあり、この2つを組み合わせて治療します。当院では放射線治療が必要と思われる患者さまに対し、抗がん剤の一種類である白金製剤を用いた化学療法を併用した放射線治療を勧めています(化学療法併用放射線療法)。

化学療法

化学療法では、抗がん剤と呼ばれるがん細胞を殺す働きのある薬剤を一種類から数種類併用して投与します。投与方法は薬の種類によって異なり、注射での投与が一般的です。

再発

再発とは治療で完全に消えてなくなったと思われるがん細胞が時間とともに増殖し、大きくなる状態です。治療後2年までの再発が多く、再発する場所としては子宮摘出後であっても局所(子宮の元あったところ)が一番多く約1/4を占めます。放射線治療などで子宮が残っている例では子宮頸部、膣壁、傍子宮組織(子宮周囲の組織)を含めると局所再発は76%、肺や肝臓など遠く離れた臓器への遠隔転移が16%です。子宮頸がんの再発に対しては、主として化学療法と放射線療法が選択されます。手術療法は転移病巣が孤立性で限局している場合に行われることもありますが適応となる例は多くありません。再発に対する標準的な治療法はなく、個々の状態に合わせて検討した後、患者さま本人及びご家族の方々と相談の上、治療法を決定しています。

予後

5年生存率は、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会の統計では、おおよそI期で92.1%、Ⅱ期で74.2%、Ⅲ期で52.0%、Ⅳ期で29.8%です。 5年生存率は、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会の統計では、おおよそI期で92.1%、Ⅱ期で74.2%、Ⅲ期で52.0%、Ⅳ期で29.8%です。